もっと、お金の話をしよう ②

 お久しぶりです。
 ギャラ未払いのまま三カ月間音沙汰なしのブラック企業に、絶賛(?)請求中の伊藤です(苦笑)。

 余談ながら、「マネージメントは自分がやるので伊藤さんは現場に専念してください!」と言ってそんな企業を紹介しておきながら、いざこうなると、「未払いの件は会社と直接交渉して下さい」などとこちらに丸投げした(これも信じられませんが)仲介者との縁は、しっかり切らせていただきました。  

……と、のっけから物騒な話で恐縮ですが、若い世代のトレーナーさんや業界関係者の皆様から、「いつもコラム読んでます!」としばしばお声がけ頂くこともあり、何かの参考になればと、あえて今回はこんな話題を選んだ次第です。  

 以前もこのコラムで触れたとおり(http://f-fit.net/column020.html)、お金や契約条件に関する話題は、トレーナーの側からはなかなか言い出しづらいものがあります。また、そういうことをこちらから言わせる時点で、あまり信用できる相手ではないとも私自身は思っています。
 今回のブラック企業案件に関しても、私はいったん断ったのですが、くだんの仲介者がかつて一緒に仕事をしたことのある人間であり、「伊藤さんに是非やってほしい」とのことだったので引き受けた仕事でした。今思えば人を見る目がなかったと反省していますが……。

それはさておき。

 万が一、こうした事態に遭遇してしまったらどうするか、また私はどうしているかを恥ずかしながらご紹介させて頂きます。

① 相手に支払いを請求する
 これはまあ、当然です。今回の私もそうしましたが、できれば内容証明郵便(現在はネットから電子送付も可能です)で請求書・通知書を送りましょう。内容証明郵便には1200円以上かかりますが、もちろん、その通信費も上乗せ請求して大丈夫です。

② 労働基準監督署に相談する
 それでも支払われない、もしくはしらばっくれるようなら(こちらに①の行動を起こさせる相手という時点でだいたいこうなりますが)、上記内容証明のコピーや、勤務表・タイムカードのコピー、メールのやり取りなど労働状況がわかる資料を添えて、相手先の地域を管轄する労働基準監督署に相談します。逆に言えば、こうした際に身を守るためにも、ふだんからこうした資料は手元に確保しておくことが大切です。

③ 訴訟を起こす
 それでもまだまだしらばっくれるようなら、もしくは最初からガツンとプレッシャーをかけたいなら、訴訟を起こします。といっても、ものものしいものではありません。60万円以下の請求であれば、文字通りそうした案件のための裁判である「少額訴訟」が便利です。審理もテーブルについて話し合う簡易な形で、1日だけで済みます。  

 ここまでやれば、まあ、大概はケリがつきます。そもそもこちらが要求しているのは正当な労働対価なのですから、支払わないということ自体がおかしいわけですし。
 もちろん「今回はこれくらいのギャラでお願いしたいんだけど、いいですか?」、「請求書、遠慮なく送って下さいね」などときちんと言って下さる企業様・個人様も世の中にはたくさんいらっしゃいます。私がお仕事させて頂くのも、ふだんはこうした方々ばかりです。

 いずれにせよ、人様の知識や技術・時間という人生の一部を営利目的で受け取っておきながらそれを踏み倒すなどということは絶対に許されませんし、立派な犯罪行為です。
 こんなコラムでも、そんな犯罪被害に遭われる方々が少しでも減るお役に立てば幸いだと心の底から思い、書かせていただきました。

ブラック企業からの支払いを、祈っていてください(笑)。