好きだからこそ

 お久しぶりです。例によって久方ぶりのコラム更新ですが、相変わらず業界の片隅でひっそりと生き延びております。
 ただ、コラムのネタがなかったわけではありません。貧乏暇なしの合間を縫って実は、とある講習会に通っていました。

 それはずばり、『日本サッカー協会公認C級コーチ』養成講習会。

 そうです。トレーニングコーチの資格に加えて、サッカーコーチの資格にもチャレンジしてみた次第です。
 理由としては、以前からこのコラムでもお伝えしていますが、指導先であり自身もOBである高校サッカー部に少しでも貢献したい、選手たちによりよい指導を提供したい、というその想いが募って(?)というのが一つ。
 そしてもう一つは単純に、

「サッカーが好きだから」。
 
 なんだそりゃ、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、最近特に思うのです。「好きじゃなきゃ、スポーツの世界で仕事なんてできないよなあ」と。
 特にコーチやトレーナーなんていう商売は、その最たるものではないでしょうか。様々な福利厚生やボーナスなんて、なくて当たり前。仕事を得るには一つ一つ契約を勝ち取らなければいけない不安定な職業なのに、トップアスリートのように何千万、何億のお金を稼げるわけでもない(少なくとも、私は一生縁がないことでしょう)。キツイ思いをして、自身のトレーニングもしなければいけない。

 にもかかわらず、 こうして身銭を切ってまで何かを学ぼうとしてしまう。休日にわざわざウェアとシューズをかついで、遠いグラウンドに向かってしまう。今回の講習も、そんな大人たちが何十人も集まっていました。そしてそれは、馴染みのあるトレーナーのセミナーや講習会と、まったく同じ空気でもありました。

 以前、別の業種の方も仰っていました。「好きだからこそ、我慢もできるし、努力もする」と。まさにその通りだと思います。好きな映画があれば監督のことや主演俳優のことを、時間をかけてでも調べますよね? 誰かを好きになったら、その人のことを手間をかけてでも知りたいと思いますよね?
 それと同じです。

 トレーナーさんなのに、なんで競技コーチの勉強までするの?
 今さら、サッカーの講習会も?

 そう聞かれたら、私はシンプルに答えることでしょう。

「トレーニングもサッカーも、両方好きなんで」


 ……いや、正直、トレーニングはキツかったりもしますけど(苦笑)。