それから

 お久しぶりです。
 もはや「シェフの気まぐれサラダ」ならぬ、「伊藤の気まぐれコラム」状態の更新頻度ですが、お陰さまで業界の片隅で元気に生息しております。

今回のタイトルは、「それから」。

 と言っても、当たり前ですが夏目漱石の話ではありません。ひっそりと(?)独立した私が、同時にこのコラムを始めた2012年から5年(!)、トレーナー業界/フィットネス業界はまさに、「それから」どう変わったのか? とくに、いつもいつもいつもいつも……述べてきた、

・人件費ケチって素人のバイトだらけのくせに、「あなたのお身体を健康にします!」、「スポーツパフォーマンスを向上させます!」みたいな誇大広告出してる、インチキ(あ、言ってしまった:笑)フィットネスクラブ

は、減ったのか? トレーナー/トレーニング指導員の待遇は少しは上がったのか? 
 といったことを、ちょっとだけ振り返ってみたいと思います。


【1.インチキフィットネスクラブ】

 予想がつくと思いますが、減ってません。。。
 たとえば厚生労働省が認定する『運動型健康増進施設』は、公式サイトによれば全国で337施設です。ちなみにフィットネスクラブの数は、パーソナルジムなども含めてですが、全国で4000以上。
 まあ、『運動型健康増進施設』のトレーナー基準も「健康運動指導士及びその他運動指導者等の配置」という、いろいろつっこみたくなる曖昧な基準なので参考にはならないでしょうが、ちょっと調べてみるだけでもこんな数字が出てきます。

 それ以前に、少なくとも業界の中で、
《大手の○○スポーツクラブが現場のスタッフを全員、NSCA, NATA-BOC, JATI, 日体協等のトレーナー有資格社員にすることを決定した》
 なんてニュースは、この5年で一度も聞いたことありません。関連メディアで取り上げられるのも、《△△社が、トップアスリートとコラボして××プログラムを開発!》
 とか、
《ジムレイアウトの新たなトレンドはこれ!》
 といったものばかりです。
 例によってそれを読んだ我々指導員は、「それはわかったけど、で、誰が指導すんの、これ? またバイトに適当に教えさせてオシマイ?(苦笑)」と、呆れているわけですが……。


【2.トレーナー/トレーニング指導員の待遇】

 一言で言うとこれも、「良くなってないなあ」という感じです。少なくとも私の場合は、ギャラは上がってません(あ、これも言ってしまった:笑)。
 お陰様でお仕事のご依頼は続いていますが、たとえば、「現場の我々はこれだけ貢献しましたよ。こんな実績が出ましたよ」と提示し、依頼主・雇い主さんの方でも、「皆さんのお陰で売り上げがこれだけ伸びました!」みたいに景気のよさげなデータを出しておきながら、なぜか契約更新時にギャラが下がっている、なんてこともありました(もちろんそちらのお仕事は、「これにて終了」とさせて頂きました)。 
 かと思えば、指導依頼をしてくださるのはいいのですが、それこそ「インチキフィットネスクラブのバイトかい!」と、思わずつっこみたくなるような金額提示のこともあったりします。

 あらためて、トレーナー/トレーニング指導員さんやそれに付帯するプログラムを探している、とくに企業や自治体、学校等の皆様に知って頂きたいのは、「トレーナーはプロの仕事」だということです。そして、もうひとつ。

「探せば、あなた方に合ったトレーナーさんは絶対にいます」

 あくまでも例ですが、「企業さんにうかがって、出張体力測定&フィットネス教室を開催します!」みたいなプログラムに三十万円払うとします。でも蓋を開けてみたら、現場に来るのはアルバイトばっかり、ということがあるのです。だったら半額の十五万円で、プロのトレーナーさんを三人だけ呼んだほうがよっぽどクオリティの高い測定や指導が受けられます。15年ほどこの業界を見てきましたが、こういう、「もったいないなあ。そのぶん、トレーナーの人件費に回せるのになあ」という風景が、いまだに目につきます。


 と、いうわけで。
 これから運動施設をつくろうとするオーナーさん、企業さん。トレーナー/トレーニング指導員を探している皆様。

1.トレーナー/トレーニング指導員は、それなりにお金のかかる「プロ」
2.でも、法外な値段ではないので(逆にそういうところはボッ○クリかも……)、探せば絶対に「プロ」はいる

ということを念頭に置いてみてください。皆さんのスポーツ/フィットネスの「それから」が、明るくなることを業界の末席としていつも願っていますし、もちろん、F Fitness Supportもそこからのご相談を承っています。


 なんだか宣伝みたいな締めくくりになってしまいましたが(笑)、何はともあれ、2017年もどうぞ宜しくお願いいたします。