トレーニングルーム“あるある”

 随分と長い間、このコラムを更新していませんでした。別に身体を壊していたとか、旅に出ていたとかではなく……ただ単に、平穏無事な毎日だった、というだけです(笑)。

  というわけで、ネタに困ったわけではありませんが(?)、今回は肩の力を抜いて、

『トレーニングルームのマナー』

について、ちょっとだけ書いてみます。

 不特定多数の人が使う、特にフィットネスクラブや公共施設のトレーニングルーム(ジム)において、次のような人を見たことはないでしょうか?


① 一つのマシンや器材を長いこと占拠している。
② 周囲に聞こえるほどの奇声を発しながら、高重量にチャレンジしている。
③ トレッドミル(ランニングマシン)やバイクを、汗でびしょびしょにしたまま去っていく。
③ ストレッチエリアでず~っと仲間とお喋り。
④ ストレッチマットに裸足で乗り、アルコール消毒等をしていかない。
⑤ 「兄ちゃん、なんの選手?」などと、いきなり馴れ馴れしく話しかけてくる。
⑥ 話しかけるどころか、「もっと腰を入れた方が効くよ!」などと、突然指導してくる。
⑦ ロッカールームで、爪切りや耳かきを始める。
⑧ ロッカールームの椅子やベンチに、全裸で直接座る。


 我々の業界では「あるある」と、しばしばジョークとして挙げられるこれらの行為ですが、実際には冗談でもなんでもなしに、周囲の迷惑なのは言わずもがなです。

 どうも身体を鍛える場所、特にトレーニングルームというのは、物理的に閉鎖されている空間(中には屋外型ジムなどもありますが)だからか、こうした「公の場」という意識の薄い、マナーや社会常識をわきまえない人が多いような気がします。
 
 そして。
 これが大事なことですが、そうしたマナーをわきまえない人を注意し、最悪の場合にはお引取り願うのも、我々「運動の専門職」の大切な仕事なのです。

 どれだけ見事なエクササイズテクニックを持っていても、どれだけ高度な勉強を積んでいても、周囲に迷惑をかけている利用者一人注意できないようでは、それは「トレーニング指導のスペシャリスト」とは呼べません。逆に、そうした問題ありの人にも穏やか、かつ毅然とした態度で接し、あらためて利用上のマナーを理解してもらうことができるならば、そのスタッフさんはきっと素晴らしい指導員さんでしょう。

 正直、簡単ではありません。専門知識や技術と指導者、そしてサービスマンとしてのコミュニケーション技術を両立させる必要があるわけですから。

 でも、だからこそトレーニングルームのスタッフというのは、時給1000円のアルバイトにやらせていい仕事ではないのです。そんじょそこらの学生やフリーターを立たせておくわけには、いかない現場なのです。


 「結局いつもの結論かい」と言われればそれまでですが、しかし、これは誰が見ても明らかです。事実、日本中のフィットネスクラブや体育館に、残念なことにそうした利用者が沢山いるのですから。

 トレーニングルームのオーナーさんや、フィットネスクラブの社長さん。
 「うちはスタッフのレベルが低いから……」、「教育がまだまだで……」などと言うなら、高いスタッフレベル、しっかりした教育に見合った賃金を払って下さい。時給900円なら、900円トレーナー(とも呼べませんが)しかいないのは当然です。それだけの指導、サービスしかできないのは当たり前です。そんな待遇しか用意できないくせに会員数が伸びないだの、クレームが多いだのと嘆いても、外から見ている分には自業自得だとしか思えません。


 お腹の出た身体で煙草をくわえているあなたの給料をちょっと減らして、日当3万円も出せば、まともな指導や接客をしてくれるトレーナーさんが、この業界にはまだまだ沢山いますよ、きっと……。