【トレーニング格言シリーズ⑤】教師が「これが一番」なんて言い方したらいけません
今回のコラムはトレーニング格言シリーズ、特にトレーナーや指導者向けの大切なひとことです。
教師が「これが一番」なんていい方したらいけません
私も尊敬する、日本トレーニング指導者協会(JATI)理事長、窪田登先生がつい最近、インタビューの中でおっしゃっていた台詞であり、心の底から共感できる大切な言葉だったので、勝手に「格言」とさせていただきました。
少々長いですが、元の言葉を引用します。
―僕はやはり、これがベストというやり方はないと思いますね。売らんかなの立場で言えば「これがベスト」って言わなきゃ売れないのでしょうが、僕はあまり流行には関心を持っていないんですね。(中略)
教師が「これが一番」なんて言い方したらいけませんから。教え子の中には、それとは反対の立場の人もいるでしょう。だから、流行にはあまり関心は持たない。それよりも大切なのは、人とのつながりです。誰が来ても、みんなのためになるような、そんな立場で話せるといいなと思います。筋トレが発達してから100年以上経っているんだから、トレーニングのやり方も、だいぶ変わってきましたしね―
東海大学の有賀誠司先生や、国立スポーツ科学センターの伊藤良彦先生をはじめ、窪田先生の次の世代にあたる国を代表する指導員のかたがたも、まったくおなじことをおっしゃっていました。いわく、「ベストのトレーニングなんてないのだから、われわれはベター、モア・ベターを目指してプログラムをつくり、指導することを心がけましょう」、「これが決定版、みたいなトレーニングはありませんから基本を大切に、身の丈に合った指導を心がけましょう」etc,etc。
またぞろ(と言っては怒られるかもしれませんが)昨今、「2ヶ月で結果がでるにはこれ!」だの、「○○率ナンバーワン!」だのといった謳い文句のジムやトレーニング本が増えているようにも感じます。
窪田先生のおっしゃるとおり、「売らんかな」の立場もありますし、われわれトレーナーはそのあたりは一番の苦手分野かもしれませんが、それでも、「みんなのためになるような」スタンスだけは忘れずに、謙虚に、基本に忠実に、トレーニング指導や関連活動に従事していきたいものです。
そうすれば、逆にその姿勢が信頼につながり、「人とのつながり」を生み出し、結果として需要も増えるのだと信じています。
……それにしても、「決定版!」とか謳っているトレーニングって、誰が、どう、決定しているんでしょう(笑)。