なぜ学校のグラウンドにはマウンドがあるのか?

 相変わらずの貧乏暇なしで、このコラムもしばらく更新期間が空いてしまいました。すみません。

 今回の内容はタイトルの通りです。  

 この質問、実は先日、指導先のサッカー部で顧問の先生が部員たちに問いかけたものです。先生は続けてこんなことを仰っていました。

「あのマウンドは野球の、しかもピッチャー以外は使わないものだよな? 乱暴な言い方をすれば邪魔なものですらある。それでもその邪魔なものを、あえて皆が使うグラウンドに設置してあるのは何故だ? マウンドのことだけじゃない。我々サッカー部だってそうだ。皆のグラウンドなのに、どうして放課後のグラウンドを優先的に使えるんだ? 皆の学校だろう? 皆の施設だろう? スポーツは皆の物だろう? この時間にグラウンドで他のスポーツをやりたいっていう生徒がいるかもしれないじゃないか? にも関わらず運動部優先にしてもらっている。それは何故だ?」

 答えは簡単な、けれども我々が忘れがちなことでした。

「我々が真剣にスポーツに取り組む集団だからだろう? 真剣に野球やサッカーに向き合って、そして何かを得たい、学びたいと言っているからだろう? だから様々な便宜を図ってくれるんだ。こうやって学校や周りから沢山の理解と援助を提供してもらって初めて自分たちの競技をすることが出来る、学校の部活動という形でスポーツに取り組むっていうのはそういうことなんだ。と言うことは、サッカーだけやっていればいいんじゃない。馬鹿みたいにボールだけ蹴っていればいいってわけじゃない。それを忘れるなよ。野球部が今どき坊主頭にしているのは、きっとそういうい部分に対しての感謝の心みたいなものを忘れないためだろう。サッカー部はさすがにそこまではしないけど、同じ心意気で“心はいつも坊主”のつもりで取り組もう。周りに感謝と範を示すことのできる集団でいよう」

 こういう先生方が指導しているのが自分の母校であることを心から誇りに思います。そしてこの教え通り、運動部の生徒たちは何も言われずとも脱いだ靴を揃え、グラウンド脇の道路を掃除し、来客者にはしっかりと挨拶をする習慣がついています。

 周囲への感謝を常に忘れないこと、率先垂範を旨とすること。

 卒業して二十年以上経ちますが、母校ではこうして未だに沢山のことを教えてもらっていますし、我がサッカー部はもちろん、野球部やバスケ部、バレー部etc……礼儀正しいスポーツマン、スポーツウーマンばかりの生徒たちに会えるのがお世辞抜きに楽しみな、毎週の指導日になっています。