ジムとポロシャツと私
その昔、こんなタイトルのヒット曲がありました。確か、結婚を控えた女性から婚約者へのメッセージのような歌だったと記憶しています。が、もちろん今回のコラムはそんな甘ったるい話ではありません。我々トレーニング指導員、トレーナーの服装についてです。
当たり前の話ですが、世間一般の社会人はスーツ姿が正装です。公の場や仕事先へ伺う際はそうした格好をするのが常識ですし、多少ラフになることが許されても、いわゆるビジネスカジュアル(ワイシャツやジャケットにチノパン、スラックスなど)やクールビズがせいぜいでしょう。しかし、残念ながらここでも『トレーナーの常識=世間の非常識』となっている場合をしばしば目にします。
例えば、仕事を請け負っている先の企業様へ出向くのにも関わらず、ポロシャツにバックパック姿で現れてしまうトレーナー。その指導先とは全く関係ないロゴやチーム名が入ったウェアを、これ見よがしに着ている指導員。これはサラリーマンの世界からすると考えられません。プロ野球選手ですら、契約更改の席には着慣れないスーツ姿で臨んでいるのは皆さんもご存知の通りです。
また、トレーニングウェアやポロシャツ姿にしても着こなし方次第では非常にだらしない印象を与えてしまいます。フィットネスクラブのトレーナー・インストラクターだからという理由だけで茶髪やロン毛、大きなピアスが許されるのでしょうか?ゴツイ指輪をつけたままでトレーニング指導していいのでしょうか?(かつて、「なんでピアスしてちゃ駄目なんスか?理由は?」と真顔でのたまったジムのアルバイトがいました。正直、メディシンボールを投げつけてやろうかと思いました。:苦笑)
もちろん、指導現場の方から「わざわざ堅苦しい格好じゃなくてもいいよ。」「直接ウェア姿で来てもらっても全然いいから。」と許可を頂いているような場合や、契約先の宣伝としてロゴ入りウェアを着ても構わないようなシチュエーションもあることでしょう。しかし、それは我々の仕事だからこそであり、社会人としてはむしろ特殊なのだという事を常に忘れてはいけません。
かく言う私自身も、実はそうしたミスや失礼な振る舞いを多々重ねてきました。今考えると本当に恥ずかしい限りです。そして、その都度さり気なく指摘して下さった先輩や仕事仲間の皆さんには感謝の気持ちで一杯です。
本場アメリカではアスレティックデパートメントに所属するトレーナーは「ポロシャツのボタンは必ず留めて裾はパンツの中に入れること」と明確にルール化しているところもありますし、我が国でも著名な指導員の方々ほど同様の“シャツイン”姿や清潔感ある格好できびきびと指導されています。
「運動の専門家」として本当に格好いい姿は、社会人としても間違いなく格好いい姿です。自分も少しでもそんな風に見られたい、と思いながら慣れないワイシャツやジャケットにも袖を通す昨今です。