コラム:サービスマンです

今でも大ファンのサッカー・三浦知良選手(自室には今でもPENALTYのウェアでドリブルするサントス時代のポスターが飾ってあったりします)が何かのインタビューで「もし若いころの自分に会ったら?」と聞かれて、「ブッ飛ばしてやりたいです(笑)」と冗談半分に答えていらっしゃいました。カズ選手を引き合いに出すなんておこがましい話ですが、私ごときでも最近全く同じことを感じています。  

実はかつての私は、先輩方に「トレーナーとしての専門知識の勉強はもちろんだけど、それ以前にビジネスマン、サービスマンとしての自覚を持たないと駄目だよ」と言われても「??? 俺、サービスマンじゃなくてトレーナーだし…」とどこ吹く風でした。正に典型的な「ブッ飛ばしてやりたい若造」で、本当にお恥ずかしい限りです。。。  

考えてみれば当たり前の話です。例えばコーヒーを飲むときに、薄汚れた店構えで店員の愛想も悪いカフェと、綺麗な店内に明るい笑顔で迎えてくれるカフェがあった場合、コーヒーの味によほどの違いがない限り我々は間違いなく後者に入ることでしょう。ましてや、トレーナーなんて一見何をやっているか分からない上に試食や試飲も出来ないちょっとおかしな(?)専門職ですから尚更です。クライアントさんや選手の方々は、一社会人として朗らかで礼儀正しい印象を受ける人にこそ自分の身体を預けてみたい、仕事を頼みたいと思って下さるはずです。少なくとも私が尊敬する方々は、トレーナー以外の職種も含めて皆そうした印象を抱かせてくれる人ばかりです。  

先日も、初対面にも関わらず「またこの人とご一緒したいな」と思わせてくれる素晴らしいトレーナーさんがいらっしゃいました。見事なエクササイズ実技はもちろん、礼儀正しく、常に笑顔を絶やさずにお客様を上手にアテンドされている姿が大変印象的だったのです。聞けば、トレーナーになる前に一旦別業種の社会人を経験されているとのこと。もちろん単に別業種を経験していればいいというものではありませんが、たまにはジムやフィールドを飛び出して沢山の人と出会い、沢山のものを見て、聞いて、感じることが、自らはもちろんこの職種の社会的地位を向上させることにも繋がっていくのだということを改めて実感させてくれました。

「トレーナーは(スポーツ医科学に則ったトレーニングやコンディショニングを商品として提供する)れっきとした“サービスマン”だよ。」

私もかつての自分に会えるなら、こう諭しながらブッ飛ばすことでしょう(苦笑)。

…などと偉そうに語ってしまいましたが、ご存知の通り私もまだまだ経験不足の若造です。これからも至らぬ部分が多々あると思いますが、引き続きご指導のほど、どうぞ宜しくお願い致します。